さて、前回は人を雇った時の、労災保険、雇用保険の加入について解説しました。
今回は、その前に必要になる、会社を設立する時の手続き、「労働保険の成立手続き」について解説します。
「労働保険の成立手続き」とは?
例えば新しくAさんを雇って、労災保険、雇用保険に加入させることになりました。しかしその前に、
あなたが作った会社・個人事業を、人を雇うことができる組織として認めてもらわないといけません。
それが、「労働保険の成立手続き」です。
大きく分けて、4つのステップがあります。順を追って見ていきましょう。
① (労災)『保険関係成立届』を労働基準監督署に出す
労働者を一人でも雇用する場合、正社員・パート・アルバイトなどの雇用形態に関係なく、労災保険の適用を受けます。
そのため、新しく会社を作った場合、まずは①労災保険の「保険関係成立届」を提出します。
- 提出先:所轄の労働基準監督署
- 提出期限:労働者を一人でも雇用した日(保険関係が成立した日)の翌日から起算して10日以内
- 添付書類:会社の登記簿謄本、個人事業主は住民票、次に説明する②「労働保険概算保険料申告書」
- 書式は、労働基準監督署にあります
この用紙は3枚複写になっていて、「事業主控」にその事業所の労働保険番号を付して返してくれます。
この後解説する③「雇用保険適用事業所設置届」、④「雇用保険被保険者資格取得届」を所轄公共職業安定所に提出する際に、この労働保険番号が必要になります。
② (労働保険)『概算保険料申告書』を労働基準監督署に出す
①の「保険関係成立届」を提出するときに、②「概算保険料申告書」をセットで出します。
その年度分の労働保険料がこれくらいになります、というのを計算して、前払いで払います、ということです。
- 提出先:所轄の労働基準監督署を経由して都道府県労働局
- 提出期限:事業開始時には①「保険関係成立届」と同時に提出。提出した後、実際に保険料を払う期限は、①の成立の日の翌日から50日以内です。
〇保険料の計算方法
保険関係が成立した日(労働者を一人でも雇用した時)から、その年度の3月31日までの、全従業員の賃金の見込み額を算出します。その金額の1,000円未満を切り捨てた額に、労災保険料率、雇用保険料率をかけます。それが労働保険の保険料(概算保険料)です。この時、その事業の種類を確認しましょう。事業の種類によって、適用される労災保険料率、雇用保険料率が異なるからです。
③ 『雇用保険適用事業設置届』を公共職業安定所(ハローワーク)に出す
新しく会社・個人事業を始めて、労働者を雇用保険に加入させる時(週20時間以上労働、31日以上働く見込みの時)、「雇用保険適用事業設置届」を出します。
- 提出先:所轄の公共職業安定所(ハローワーク)
- 提出期限:事業所を設置した日の翌日から起算して10日以内
- 添付書類:①「保険関係成立届」の事業主控のコピー、会社の登記簿謄本(個人事業主は住民票)、賃貸の場合は賃貸借契約書の写し
※雇用保険適用事業所設置届には、①「保険関係成立届」に付された労働保険番号を記入します
そして、この設置届を提出するということは、少なくとも雇用保険に一人加入させるということですから、その労働者を雇用保険に加入させる④「雇用保険被保険者資格取得届」もセットで出します。
④ 『雇用保険被保険者資格取得届』を公共職業安定所(ハローワーク)に出す
- 提出先:所轄の公共職業安定所(ハローワーク)
- 提出期限:③「雇用保険適用事業設置届」と同時に/それ以降、新規に雇用した時は雇用した翌月10日まで
- 添付書類:社会保険労務士を通じて提出する場合は不要
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以上の4つが、労働保険の成立手続きになります。参考にして下さい。